こんにちは!ほどく行政書士事務所・行政書士の村下です。突然ですが、あなたがお店をはじめるときに、まっさきに誰に相談しますか?かつての上司や先輩経営者が思いつくかもしれません。私自身もさまざまな仲間や先輩の力を借りて、起業に挑戦した経験があります。その助言や存在は本当にありがたかったですが、商工会・商工会議所や地元金融機関といった「支援機関」の力も活用すればよかったという後悔があります。 そこで今回は「起業・創業時の支援機関」の重要性をお伝えします。※この記事では認定支援機関や携創業支援等事業者等を便宜上「支援機関」と呼びます。創業準備中から相談しよう!支援機関には創業準備中から相談することをお勧めします。「会員にもなっていないのに商工会に相談できるの?」「お金を借りるかわからないのに、金融機関に相談していいの?」 と思われる方もいるかもしれませんが、将来の会員や顧客となる経営者の卵は支援機関にとってかけがえのない存在です。そして、病院やDIYと一緒で、素人が手をつけたものを手直しする方が難しいもの。創業途中からでは、支援機関が提供できるサポートが減る可能性があります。さらに創業前から支援機関に相談することで、具体的な特典を受けられる場合があります。それが「特定創業支援等事業」です。この制度は国が認定した市区町村と支援機関が行う創業支援のことを指します。この特定創業支援を受けた創業者は、市区町村から証明書を発行してもらうことができ、さまざまな特典を受けることができます。主な特典は以下の4つです。会社設立時の登録免許税の軽減創業関連保証を6か月前から利用可能日本政策金融公庫の自己資金要件の緩和日本政策金融公庫の利率の引き下げこれらに加えて、各自治体が独自の創業支援補助金などを用意している場合もあります。特定創業支援事業は、各自治体・機関によって内容は異なりますが、創業塾を提供している場合が多いようです。また全ての自治体が行っているわけではないので、実施状況や内容は中小企業庁WEBサイトをご確認ください。特定創業支援事業の特典はさらに拡大?また特定創業支援事業を受けることによる特典はさらに拡充する可能性もあると思います。例えば、中小企業・個人事業主にとって使い勝手のいい「小規模事業者持続化補助金」という補助金があります。この補助金は、通常は補助率2/3、補助上限額50万円という制度ですが、近年、創業枠という特別枠が設けられており、補助上限額が200万円まで引き上げられます。この創業枠に申請するには先ほどお話した特定創業支援事業の証明書が必要となります。 このように創業時だけではなく、その後数年に渡って受けられる支援に差が出てくる可能性もあります。そのため創業時には支援機関に相談することをお勧めします。先輩経営者だけでは足りない理由 「色々と教えてくれる先輩がいるから大丈夫!」という方もいるかもしれません。しかし先輩経営者は時には誤った情報を伝えることもあります。起業を支える制度は日々変化しており、古い情報では対応しきれないこともあるからです。 私が実際に目にした例としては「節税」です。決算時に想定以上の利益が出た際に「節税のために何か買うものはないか?」という考えを持つ経営者は少なくありません。この考え方に染まって、決算時に無駄な出費している若手経営者を見ることがあります。こういったケースも、公的な支援制度を把握していれば、より効率的な経営をすることができます。 中小企業基盤整備機構が提供する「経営セーフティ共済(倒産防止共済)」を活用すると年度内の損金算入と将来への積み立てが可能となります。支援機関はこういった制度の加入窓口になっているケースもあり、公的制度の活用方法を熟知しています。 また我々、行政書士や中小企業診断士、税理士、社労士といった専門家とも広くネットワークをもっているため、信頼できる専門家の紹介も依頼できます。 先輩経営者からは心構えと経験値を、支援機関からは知識と情報を 先輩経営者からは、実際の経験や心構えを学ぶことができます。実際の厳しいビジネスの現場で得たの成功や失敗談から学ぶことは非常に貴重です。この経験値は支援機関から聞いただけではわからない生々しさや情熱があります。一方、支援機関はネットワークや最新の支援制度の情報を提供してくれます。常に最新の情報やネットワークをもっている支援機関の知識と情報を活用しない手はありません。先輩経営者の経験と支援機関の知識を組み合わせることで、より確かな基盤の上に事業を構築することができます。